スマートフォン 2012 1 9
書名 これからスマートフォンが起こすこと
携帯電話がなくなる パソコンは消える
著者 本田 雅一 東洋経済新報社
この本の表紙には、
「2年以内に、すべてが変わる。
劇的な主役交代、そして勝ち組企業の漂流・・・」と書いてあります。
さて、書評に入りましょう。
「(家庭で)パソコンを買って、何に使うのか?」
この質問は、この20年来、聞かれたことでしょう。
家庭におけるパソコンの用途は、
一昔前ならば、ゲームだったと思います。
かつて、パソコン・ゲームが全盛の時代がありました。
しかし、それは、プレイステーションに取って代わられました。
ワープロ?
確かに、巨大で高性能なワープロソフトが、
パソコンにインストールされています。
しかし、家庭で長文を書くものか?
実は、このサイトは、文字ベースでは、17MBもあります。
しかし、ワープロソフトではなく、
ウィンドウズのオマケ・ソフトである「メモ帳」で書いています。
年賀状?
日本人ならば、年賀状作成のためにパソコンを使うと答えるかもしれない。
しかし、年1回使うために、10万円以上もするパソコンを買うのか?
ステータスシンボル?
これが、本当の理由かもしれません。
ITの時代に、自分は乗り遅れていないことを証明するために、
パソコンを買うというのが、最大の(隠れた)理由かもしれません。
結局、「パソコンを買って、何に使うのか?」という質問に対して、
明確な答えは出ないまま、数十年が過ぎたと思います。
しかし、著者によると、答えが出るという。
「スマートフォンは、パソコンである」
つまり、スマートフォンは携帯電話ではなく、
電話機能がついたパソコンであると。
確かに、そういう視点で見れば、
スマートフォンは、パソコンそのものである。
しかし、そうであれば、大変なことである。
スマートフォンは、従来型のパソコンやノートパソコンを駆逐してしまうでしょう。
同時、携帯電話も駆逐してしまうでしょう。
このような分野に巨額の投資をしていた企業は、困惑するかもしれません。
スマートフォンがパソコンであるとすると、
お決まりの質問が出るかもしれません。
「CPUは何?」
CPUは、テレビCMで有名なインテルではなく、
クアルコムが多いでしょう。
だから、最近は、仮にインテルが業績見通しを下方修正しても、
株式市場には、影響が少なくなっています。
かつては、インテルの業績動向は、株式市場に激震をもたらしていました。
インテルといえば、マイクロソフトを連想するでしょう。
マイクロソフトは、「(家庭で)パソコンを買って、何に使うのか?」に対して、
誰もが納得する回答を出したのか。
結局、「ステータスシンボル」という回答を出したと思います。
インテルとマイクロソフトの製品を所有していれば、あなたは一流であると。
しかし、「スマートフォンがパソコンである」とするならば、
一流の象徴だったインテルもマイクロソフトも、過去の企業となるでしょう。
スマートフォン・ビジネスに乗り遅れた印象が強いでしょう。
来るウィンドウズ8で、スマートフォンに、どう取り組むのか。
スマートフォンでは、画面が小さくて困る?
もし、iPADのようなタブレット型のパソコンが売れるようになると、
従来型のパソコンやノートパソコンは大きな打撃を受けるかもしれません。
若い世代は、そもそもキーボードが付いているパソコンを、
レトロのような感覚で見るようになるでしょう。
タッチパネルに慣れてしまうと、キーボードを打つのは、
クラシックな感覚を覚えるでしょう。
私の感想?
スマートフォンに対する私の感想は、
「ついにズボンの後ろポケットにパソコンが入る時代になってしまった。
しかし、これで、やっとパソコンがマニアのものから、みんなのものになった」
マイクロソフトのビル・ゲイツ氏の夢は実現したのです。
ゲイツ氏の夢は、「すべての人にパソコンを」というものだったと思います。
スマートフォンが、ゲイツ氏の夢を実現させたのです。
スマホ・デフレ 2011 10 2
書名 週刊エコノミスト 2011 10/4
「スマホが世界を支配する」
私は、時間がかかるでしょうが、
最終的には、世界の携帯電話が、
すべてスマートフォンに置き換わると考えています。
その際、日本の部品メーカーは、
多大な恩恵を受けるだろうと予測しています。
しかし、物事には、光と影があります。
知人から聞いた話では、スマートフォンを買ってから、
パソコンを使う機会が減ってしまったということです。
そういえば、私も、スマートフォンのカメラ機能が、
あまりにも優れていたので、
デジタルカメラを買う必要がないかもしれないと思ったことがありました。
(以下、引用)
スマートフォン(多機能携帯電話)が世界で爆発的に売れている。
ユーザーにとって便利な道具に違いないが、
一方で、多機能であるがゆえに、他の産業を駆逐するほどの破壊力も持つ。
(中略)
「ゲーム業界に新たな波が起きている。
従来の専用ゲーム機と専用ソフトで遊ぶスタイルは、もはや古い。
スマートフォンの存在が、任天堂を追い詰めている」と、
ゲームジャーナリストは指摘する。
専用機ではなく、
スマートフォンにゲームをダウンロードして遊んだり、
ソーシャルゲームを楽しむスタイルへとユーザーが移っている。
(中略)
スマートフォンは、日常生活の中で、
「音楽プレーヤー」「ゲーム機」「ICレコーダー」
「デジタルカメラ」「ノートパソコン」「テレビ」機能を併せ持つ便利な端末。
ただ、それは、同時に専門端末を駆逐する「悪魔の端末」でもある。
(中略)
大手シンクタンクのアナリストは、
「スマホの持つ多機能性が、他の産業を駆逐すれば、
その雇用を奪い、賃金を減らす」と警告する。
(以上、引用)
過去に、技術革新によって、
産業構造の変化が起きたことは、よくあることでした。
しかし、問題なのは、今回の場合、
あまりにもスピードが速いという点かもしれません。
急激なスピードに、企業がついていけないという状況かもしれません。
IT業界には、「ドッグイヤー」という言葉があります。
これは、IT業界における技術革新のスピードを表す概念です。
普通は、7年で変化するような出来事が、
この業界では、1年で変化すると考えられています。
(犬が、1年で7歳、年を取ることから)
さて、家庭的には、プラスの面もあるかもしれません。
スマートフォン効果として、
パソコンでは自分の部屋にこもりがちだった人が、
スマートフォンになれば、リビングや台所でも、
インターネット閲覧やメールができるようになります。
つまり、家族をリビングに集める効果が期待できます。
スマートフォン対応 2011 1 16
書名 スマートフォン新時代
著者 松村 太郎 NTT出版
今や、巨大な半導体産業もスマートフォン対応に追われ、
OS産業も、ソフトウェア産業も、バスに乗り遅れないように、
必死の努力が続いています。
これで済む話なのか。
いや、違います。
おそらく、私たちの生活もビジネスも、
スマートフォン対応に追われることになるかもしれません。
学校も会社も休日も、スマートフォンの出現によって、
大きく変わる可能性を秘めているかもしれません。
こうした動きは急激に起きてくるので、
バスに乗り遅れてしまった人たちが、たくさん出てくるかもしれません。
そこで役立つのが、本書と言えるでしょう。
この本は、「そもそもスマートフォンとは何か」という話から始めていますので、
いきなり市販のマニュアル本を読むよりも、なじみやすいと思います。
スマートフォンの必要性については、
このサイトでは、2009年3月8日に取り上げています。
この当時は、多くの人がスマートフォンの必要性について理解してくれませんでした。
「なぜ、スマートフォンが必要なのか。
高性能な携帯電話があれば十分だ」という雰囲気でした。
そこで、私は、
「携帯電話を卒業したら、スマートフォン」という言葉で売り込めば、
世の中の雰囲気が変わるかもしれないと思ったのです。
あれから2年近く。
たった2年かもしれませんが、この2年は大きいのです。
IT業界は、「ドッグイヤー」と言って、1年が7年分に匹敵するのです。
だから、世の中の時計は2年しか進んでいませんが、
IT業界の時計は、14年も経過していると言えるかもしれません。
「ドッグイヤー」
IT分野(情報技術分野)における技術革新のスピードを表す概念です。
普通は、7年で変化するような出来事が 、
この分野では、1年で変化すると考えられています。
(犬が、1年で7歳、年を取ることから)。